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
あいり
大血管とは『肺動脈』と『大動脈』があり、大血管転位には完全大血管転位と修正大血管転位があります。
完全大血管転位は、心臓にある4つのお部屋は解剖学的には通常通り存在していて、大動脈と肺動脈が入れ替わっている病態です。
一方、修正大血管転位は、形態的な左心室が右心室(肺循環)の役割を担っていて、形態的な右心室が左心室(体循環)の役割を担っていることで、心房と大血管はそれぞれの形態的な心室とはあべこべに接続されているにも関わらず、結果的に血液の流れは通常の道筋で回っている(修正されている)という病態です。
正常な心臓の右心室は、全身から戻ってきた血液を肺に送る仕事をしているだけなのでその仕事量は小さく、血圧としては20-30mmHgぐらいです。
左心室は、肺で酸素を取り込んだ赤い血液を頭のてっぺんから爪先まで送り込まなくてはいけないために仕事量は右室よりもはるかに多く、壁は鍛えられて分厚く筋肉質で、血圧としては90-100mmHgあります。
修正大血管転位の場合は血液の流れは結果的に修正されているいるため一見問題ないのように思いますが、形態的な右心室は本来、肺に血液を送るのが仕事なので、全身に血液を送り出す100mHgもの仕事をずっとこなし続けることは難しいのです。なので、成人になってから心不全や不整脈を起こして予後が悪くなってしまいます。
現在では、大動脈と肺動脈を付け替える手術と、心房を左右入れ換える(血液の流れを逆にする)ダブルスイッチ手術という手術を行います。
しかし、形態的な左心室も、本来は全身に血液を送り出すポテンシャルを持ちながら、胎児期から機能的には右心室の役割しか担っていなかったので、突然解剖学的な外科修正を加えると今度は左心室がその仕事量を賄えず血行動態が悪化してしまいます。
ダブルスイッチ術の前段階として、肺動脈を縛る肺動脈バンディング術をして形態的左心室に意図的に負荷を与えて左心室に筋トレさせる『左室トレーニング』期間を設けることがあります。
いずれにしても、根治まで何度かの手術や、定期的なカテーテル検査、不整脈がある場合も多く植え込み型のペースメーカー留置術など、乳幼児期の長期の入院を要することが多いです。
上のお子さんがいるようですので、両祖父母などサポートしてくれる方の存在が重要だとおもいます。
地域の保険センターとの連携も大事だと思います。
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