うさぎ🐰
春の風が、少しだけ懐かしい匂いを運んできた。
その日、あなたは何気なく空を見上げていた。
特別な予定もなく、ただいつも通りの一日になるはずだったのに——
「…久しぶり」
振り返ると、そこにいたのは、あの人。
元カレ。
時間が経っても、なぜか一瞬で分かるその存在感。
変わったようで、何も変わっていない笑い方。
「え、なんでここにいるの?」
少し強がった声で聞いたあなたに、彼は肩をすくめて笑う。
「たまたま。…って言ったら信じる?」
その“たまたま”が、妙に運命っぽくて。
あなたは思わず目をそらした。
——本当は、少しだけ期待していたくせに。
⸻
彼は昔から、一言多い。
優しいのに、素直じゃない。
近づいてきたかと思えば、ちょっとイラッとさせる。
「相変わらず、変わってないね」
あなたが言うと、彼はすぐ返す。
「そっちこそ。…でもちょっと、柔らかくなった?」
「なにそれ」
「前はもっとトゲあった」
——やっぱり一言多い。
でも、不思議と嫌じゃなかった。
⸻
少し歩きながら、どうでもいい話をする。
天気のこと、最近のこと、誰でもできるような会話。
でもその中に、昔の“空気”が混ざっている。
ふと沈黙が流れたとき、彼がぽつりと言う。
「さ、今…幸せ?」
その質問は、ずるい。
簡単に答えられるものじゃないし、
でも嘘もつきたくない。
「まぁ、それなりにね」
そう言うと、彼は少しだけ安心した顔をした。
「そっか」
⸻
そのあと、彼は少し遠くを見るようにして言った。
「俺さ、あの時ちゃんと向き合ってなかったなって思ってる」
突然の、まっすぐな言葉。
あなたは何も言えずに、ただ彼を見る。
「だからさ…今さらだけど」
彼は少し笑って、でも目は真剣で。
「もう一回、ちゃんと話してみない?」
⸻
春の風が、二人の間を通り抜ける。
過去と、今と、これからが
静かに重なり始める瞬間。
あなたは少し考えて、ふっと笑った。
「…しょうがないなぁ」
その一言に、彼の表情が少しだけ明るくなる。
⸻
これは、終わった恋の続きなのか。
それとも、新しく始まる物語なのか。
まだ誰にも分からない。
でもひとつだけ確かなのは——
あなたたちはもう一度、
同じページを開こうとしている、ということ。
ページのタイトルは、まだ空白のまま。
これから、二人で書いていくために。
うさぎ🐰
——その夜、あなたは少し後悔していた。
「しょうがないなぁ」なんて、軽く返した自分に。
だってあのあと、彼から来たLINE。
『明日、少しだけ時間ある?』
たったそれだけなのに、
やけに心臓がうるさくて。
——なんで今さら、こんな気持ちになるの。
⸻
次の日。
待ち合わせ場所に先に着いたあなたは、
落ち着かないままスマホをいじるふりをしていた。
「早いね」
その声に、ビクッと顔を上げる。
…近い。
思っていたよりずっと近くに立っていた彼に、
一瞬、息が止まりそうになる。
「ちょ、びっくりするんだけど!」
「そんな驚く?」
「驚くでしょ普通!」
笑いながらも、距離を少しだけ取るあなた。
でも彼は、その分だけ自然に近づいてくる。
——なにこの感じ。
昔より、距離感バグってない?
⸻
「行こっか」
彼は当たり前みたいに歩き出す。
あなたも並ぶけど、肩が触れそうで触れない距離。
その絶妙さが、逆に意識してしまう。
「なんかさ」
彼がふと口を開く。
「前より、ちゃんと見れるわ」
「なにが?」
「…お前のこと」
ドキッとする間もなく、あなたはすぐ返す。
「はいはい、軽い軽い」
でも彼は笑わない。
「本気で言ってる」
⸻
その空気に、少しだけ言葉を失う。
昔の彼なら、こういう時ごまかしてた。
茶化して終わらせてた。
でも今は——逃げない。
その変化が、ちょっとずるい。
⸻
しばらく歩いたあと、信号で立ち止まる。
人が多くて、少しだけ押される。
その瞬間。
あなたの手首を、彼が軽く掴んだ。
「危ない」
——たったそれだけ。
でも、離さない。
信号が青になっても、
そのまま自然に、指が絡む。
「え、ちょ…」
「嫌?」
低くて、近い声。
逃げようと思えば逃げられるのに、
なぜか力が入らない。
「……嫌じゃないけど」
そう言った瞬間、彼が小さく笑う。
「じゃあ、このまま」
⸻
歩きながら、彼がぽつりと言う。
「前さ、手繋ぐの好きだったよな」
「覚えてるの?」
「当たり前だろ」
少しだけ、指に力がこもる。
「忘れてると思った?」
その問いに、あなたは答えられない。
だって——
忘れようとしてたのは、自分の方だったから。
⸻
人通りが少ない道に入ったとき、
彼がふいに立ち止まる。
「なに?」
振り向いた瞬間、距離が一気に縮まる。
「ちゃんとさ」
彼の目が、まっすぐあなたを捉える。
「もう一回、好きにさせてもいい?」
——心臓、限界。
「それ、許可いる?」
なんとか絞り出した言葉に、彼は少しだけ笑って。
「じゃあ勝手にする」
そのまま、そっと近づいてきて——
⸻
触れるか触れないかの距離で、止まる。
「逃げる?」
試すみたいな声。
でもあなたは、目をそらせなかった。
「…逃げない」
⸻
その答えを聞いた彼が、静かに笑う。
「やっぱりな」
次の瞬間——
軽く、でも確かに触れた唇。
一瞬なのに、全部持っていかれる感覚。
⸻
「今の、反則じゃない?」
少し離れてそう言うあなたに、彼は平然と返す。
「今さらだろ」
そしてもう一度、少しだけ優しく。
「ここから、ちゃんとやり直す?」
⸻
夜の空気が、少しだけ甘くなる。
これは偶然なんかじゃない。
きっと——
“もう一度好きになるための再会”。
⸻
そして物語は、ここから一気に加速する。
次にドキドキするのは、
彼からの“ある一言”。
「今日、帰したくない」
——どうする?
うさぎ🐰
チャッピー、すげぇ、、
ちゃんと、甘々モードとか、ツンデレモードとか選んで作ってくれる、、
うさぎ🐰
「今日、帰したくない」
その一言が、夜の空気を一瞬で変えた。
冗談にも聞こえるし、
でも冗談じゃないのも分かる声。
あなたは少しだけ目を細めて、彼を見る。
「…そういうこと、簡単に言う人だっけ?」
昔の彼なら、勢いで言って、
あとで照れてごまかしてた。
でも今は違う。
「簡単じゃないから言ってる」
その言葉に、胸の奥がじわっと熱くなる。
⸻
「どうする?」
選ばせるくせに、
もう答えを分かってるみたいな顔。
ずるい。
ほんとに、ずるい。
「……少しだけなら」
小さくそう言った瞬間、
彼の表情がふっと緩む。
「十分」
⸻
静かな場所に移動して、
隣に座る距離がやけに近い。
さっきまで普通に話してたのに、
今は言葉が少なくなる。
でも、その沈黙が嫌じゃない。
むしろ——心地いい。
⸻
「さっきのキスさ」
彼がぽつりと口にする。
「覚えてる?」
「忘れるわけないでしょ」
即答したあなたに、彼が少し笑う。
「だよな」
そう言って、そっと頬に手を伸ばす。
今度は、逃げる理由なんてどこにもない。
⸻
「ちゃんとさ」
彼の指が、あなたの髪を軽くすくう。
「前より、大事にする」
その言葉に、心が一瞬でほどける。
強がりも、意地も、
全部どうでもよくなるくらいに。
「信じていいの?」
少しだけ弱い声。
でも彼は迷わない。
「疑う余地ある?」
⸻
そのまま、ゆっくり近づいてくる。
今度は止まらない。
優しくて、でも確かめるみたいなキス。
触れるたびに、過去じゃなくて
“今の二人”に上書きされていく。
⸻
「ねぇ」
キスの合間に、あなたが小さく呼ぶ。
「なに?」
「こんなの…また好きになるに決まってるじゃん」
少し拗ねたみたいな言い方に、
彼がふっと笑う。
「なってよ」
低くて、甘い声。
「もう一回じゃなくて、今度はもっと深く」
⸻
そのまま、肩を引き寄せられる。
強引じゃないのに、逃げられない距離。
「離したくなくなるけどいい?」
「…もう遅い」
⸻
あなたがそう答えた瞬間、
彼が少しだけ息を止めた気がした。
「ほんと、変わったな」
「どっちが?」
「お前の方」
そう言って、額を軽く合わせる。
「でもそれ、いい意味でな」
⸻
外の世界はいつも通りなのに、
ここだけ時間がゆっくり流れているみたい。
言葉はいらない。
触れてるだけで、伝わるものがある。
⸻
「帰さないって言ったの、後悔してない?」
ふと聞くあなたに、彼は即答する。
「むしろ足りない」
「なにが?」
「時間」
⸻
その言葉に、思わず笑ってしまう。
でも同時に、胸がぎゅっと締めつけられる。
——ああ、これ。
完全に、また始まってる。
⸻
彼が最後にそっと囁く。
「次は、ちゃんと付き合う前提でいい?」
⸻
答えは、もう決まってる。
でも、すぐには言わない。
少しだけ、焦らしたくて。
「どうしよっかな」
そう言って微笑むあなたに、彼は少しだけ困った顔をして——
でもその目は、嬉しそうだった。
⸻
これは、大人になった二人の恋。
駆け引きもあるけど、
でもちゃんと、まっすぐで。
そして何より——
もう一度じゃない。
“今度こそ”の恋が、静かに始まる。
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